職場の同僚なんですけど、周囲の人に関わるのが苦手なようなんです。
まぁ、そういう人もいるよね。
実は本人から相談を受けたんですよ。そんな自分を変えたいって。
今度、今度二人でゆっくり話そうって約束したのですけど、彼になんて言ってあげたらよいか分からなくて・・・
この記事にたどり着いたあなたは、これまで対人関係・人間関係で悩んでいると想像します。
学生時代はクラスメートが、社会人になってからは職場の同僚が仲間と思えない。
むしろ、敵にすら感じてしまう・・・
その気持ち、すっごくよく分かります。
私は今でも、相手によっては「攻撃されている」ように感じることもあります。
この記事は、あなたらしく生きるために、他者との関わり方について紹介したいと思います。
アルフレッド・アドラーとは
1870年にオーストリアで生まれたアドラーは、同時代のフロイトやユングと共に、臨床心理学の基礎を築いた人物といわれています。
一方で、フロイトやユングの心理学とは異なり、「過去にとらわない未来志向」の心理学を提唱しました。
アドラー心理学といえば、「嫌われる勇気」がベストセラーになって以来、多くの人に知られるようになりました。
アドラー心理学の特徴は、あらゆる対人関係は「縦」ではなく「横」の関係にあり、人と人とは対等であると考える点にあります。
なぜ、他者を敵と感じてしまうのか?
アドラーは「すべての悩みは対人関係の悩みである」と考えました。
対人関係において問題となるのは、他者のことを自分の行く手を遮る「敵」とみなすことから始まります。
具体例として、親子関係を考えてみましょう。
私には二人の子供がいます。
もしも、子供が親のいうことを何でも聞くような従順な存在であったらどうでしょう?
それがいいか悪いかは別にして、親子関係において何の問題も生じないと思います。
これは、夫婦・恋人関係、職場における上司と部下の関係のおいても当てはまることです。
こちらのいうことを「はい、分かりました」と受け止めてくれたら、問題など生じませんよね。
でも、現実はどうでしょうか?
親が子供に「もっと勉強してほしい、ちゃんと後片付けしてほしい」と思っても、子供はいうこと聞いてくれません。
夫婦・恋人関係でもそうではありませんか?
仕事における上司と部下の関係だって、基本的には同じです。
相手はこちらの理想通りに動いてくれないのです。
そうした関係が続くと、やがてお互いに、相手のことを自分の「敵」だとみなすようになるのです。
本来は愛すべき子供、愛すべき配偶者、頼りにすべき上司・部下でもあるのにですよ。
このように、他者を敵と考えることが、人間関係の悩みを作り出しているのです。
僕の同僚は、周囲の人のことを「敵」だと思っているのでしょうか?
少なくとも、味方だと思っていないから、関わりたくないんじゃないのかな?
でも、君のことは味方と思っているから、相談してきたんだろうね。
周囲の人のことを自分の「敵」のように感じることは決して、レアケースではありません。
しかし、そもそも、彼ら・彼女らは、なぜ、そのように感じてしまうのでしょう?
アドラーは、彼ら・彼女らは「他者と関わりたくない」という目的をもっていると説いています。
他者と関われば、必ずそこに摩擦が生じるからです。
親子、夫婦といった関係であっても、嫌悪感が生じたり、場合によっては憎悪にまで発展することだってありますよね。
そうなって、傷つく自分が怖いから、「他者と関わらないようにしよう」と考えるのです。
傷つく自分が怖いから?
ま、分からないこともないけど、ちょっと気にし過ぎなんじゃないのかな?
そういうことも含めて、自分を変えたいって思っているのかもしれませんね。
他者と関わることで、得られることもたくさんあるんですけどね。
対人関係・人間関係は悩みの源泉といえます。
一方で、生きる喜びや幸せは、対人関係・人間関係を通して得られるものです。
他者との関りを避けていては、生きる喜びや幸せを感じることはできませんよね。
対人関係・人間関係の悩みからの逃れようと思うなら、他者との関りを避けるのではなく、他者に対する見方を変えてはいかがでしょうか?
つまり、他者を敵ではなく味方だと考えてみることです。
分かりました。
もし彼が、周囲の人と関わることが苦手な理由として、周囲の人を自分を傷つける敵だと思っているようなら、「僕は君の味方だよ」って伝えたいと思います。
優しいですね。だから彼も相談してくれたのだと思いますよ。
広場恐怖症とは
他者を敵だと考える人の多くは、「自分が世界の中心にいたい」という意識を持っているようです。
「広場恐怖症」はその典型といえます。
広場恐怖症ですか?
初めて聞きましたけど、広場恐怖症って何ですか?
広場恐怖症とは、外の世界を恐ろしいと感じ、家に引きこもって外に出られなくなる、神経症の一種です。
広場恐怖症の人が外に出ようとしないのは、外の世界が怖いからではありません。
家の中にいる限り、自分が家庭という共同体の中心でいられるからです。
家族のみんながあなたのことを心配し、あれこれと奉仕してくれるので、家の中にいると非常に心地よいのです。
そんな彼ら・彼女らが、一歩、家の外に出ると、そこは知らない人ばかりです。
彼ら・彼女らは当然、たくさんのなかの一人になってしまうのです。
当然ですが、誰も、彼ら・彼女らに注目してくれません。
それが怖いから、彼ら・彼女らは外に出ないで、家の中にいようとするのです。
広場恐怖症の人は、他者から見られることを怖れているように見えますが、実はその逆で、皆に注目されて世界の中心にいたいと思っているのです。
今回の彼は、家の中に閉じこもっている訳ではなく、会社にも来ていますよ。
そうですね。
極端な事例を紹介しましたが、程度の差はあっても、人は誰しも「自分が世界の中心にいたい」という意識があるのではないでしょうか?
他者との関りを避けたい気持ちの裏には、自分でも気づいていない、このような心理があることを知っておくこともよいと思います。
所属感と広場恐怖症について
人間の基本的な欲求の一つして「所属感」があります。
所属感とは、「自分はここにいてもいいのだ」と、共同体の中に自分の居場所があると感じることです。
これ、メッチャ分かります!
職場であれ、学校であれ、家庭であれ、自分にとって居心地の良い場所を持ちたいと思うのは人間にとってのごく自然の欲求です。
それは、自分の幸せや生きる喜びにもつながっていくからです。
すると、広場恐怖症の人は、家の中に所属感を持っているということですか?
それは本当の意味での所属感とはいえません。
どこかに所属して居心地のよい場所を持ちたいという欲求と、共同体(世界)の中心にいたいという欲求は別物だからです。
自分が世界の中心だと考える人は、なぜそのようになってしまったのでしょうか?
甘やかしの危険性について
自分を世界の中心だと考える人は、幼いころに甘やかされて育った経験を持っているといわれます。
アドラーは、甘やかしの危険性について、次のようにいっています。
甘やかされた子どもは、自分の願いが法律になることを期待するように育てられる。
その結果、自分が注目の中心でなかったり、他の人が彼(女)の感情に気を配ることを主な目的にしない時には、いつも大いに当惑することになる。
人生の意味の心理学
なるほどね~
単純な感想だけど、少子化が進み、子供の数が少なくなると、それだけ甘やかされて育つ可能性も高くなっているんじゃないかな?
一人っ子だと、親の愛情を独り占めできますよね。
それと、甘やかしは別物だと思いますけどね。
最終的には、本人の気付き次第なのかもしれません。
しかし、親からすべてのモノを与えられて育った子供は、他者からもそうしてもらうことが当然だと考えるようになります。
結果、彼ら・彼女らは自分が他者に何ができるのかではなく、他者が自分に何をしてくれるのかに関心を示すように成長してしまうのです。
あなたの周りを見渡してみて下さい。
いませんか?
自分がちやほやされているうちは機嫌がいいのですが、そうでないと途端に不機嫌になり、攻撃的になる人って。
興味深い内容ですね。
エネジーバンパイア、クラッシャー上司・・・
甘やかされて育ったのか、厳しく育てられた反動で甘えているのか?
とても興味深いです。
しつこいエナジーバンパイア エナジーバンパイアの特徴と対処法とは
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まとめ
この記事のまとめは以下の通りです。
- 他者を敵と感じるのは、他者との関りから生まれる摩擦で傷つく自分が怖いから
- 他者を敵ではなく、生きる喜びや幸せを与えてくれる仲間と考えてみよう
- 広場恐怖症と所属感は別物
- 甘やかされて育つと、他者が自分に何をしてくれるのか?にしか関心を示さない大人になる
他者をどう見るかも大切です。
一方で、自分が自分のことをどう見ているのかを認識することも大切です。
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アドラー心理学⑤ トラウマ アドラー心理学を学んでトラウマを消そう
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
感謝いたします。
また、こちらでは、筆者(管理人)が感動した 「偉人たちの勇気の言葉」 を紹介していますので、よかったら覗いてみて下さい
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